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兵庫県西宮市の阪神甲子園球場周辺で予想される津波浸水域

 大災害は時と場所を選ばない。プロ野球や高校野球といった大きなスポーツイベントの開催中に大災害が起きたらどう行動すればいいのか。阪神・淡路大震災から30年を機に、約4万7千人収容の阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)を例に想定してみた。

  • 門外不出の「絵」に描かれる30年 リーグワン・神戸に息づくもの

 20××年、満員の甲子園。観客のスマートフォンから一斉にけたたましい警報音が鳴った。緊急地震速報だ。

 球場職員や警備員が無線で連絡を取り、売店の販売員らも含めた約350人のスタッフがそれぞれ持ち場から観客に席から離れないよう呼びかけている。「その場で動かず、落ち着いてください」。冷静な声で、場内アナウンスが流れた。

 ただ、揺れが収まっても安心はできない。甲子園から海岸線までは約1.2キロ。気象庁は3㍍超の津波を予測する「大津波警報」を発令している。球場周辺に津波が到達するとされている時間は「約110分」という。

 甲子園の観客席は内、外野席…

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